公的制度の確認ポイント:自動車を運転する人には自賠責保険への加入が義務づけられていますが、自賠責が補償するのは相手方の身体に対する賠償のみで、支払われる金額にも限度があります。相手の車や物への賠償、自分や同乗者のけが、自分の車の修理費は自賠責の対象外です。任意保険はこの範囲を補うために検討するもので、どこまで備えるかは自賠責でカバーされない部分を起点に考えると判断しやすくなります。
ソニー損保とSBI損保は、どちらもインターネットや電話で契約が完結するダイレクト型の自動車保険です。代理店を介さないぶん保険料が抑えられる点は共通していますが、保険料の決まり方と補償の組み立て方に違いがあります。
この記事では両社の設計の違いを整理し、どのような条件のときにどちらを検討しやすいかを比較します。保険料の具体的な金額は等級・年齢・車種・使用状況によって大きく変わるため、金額そのものではなく判断の材料となる考え方を中心に扱います。
ソニー損保とSBI損保の基本的な違い
両社ともダイレクト型で、走行距離を保険料の算出に使う点は共通しています。ただし「どの期間の走行距離を見るか」が正反対で、ここが実務上いちばん大きな違いになります。以下は各社の公表資料をもとに整理したものです(2026年8月31日確認)。
| 比較の軸 | ソニー損保 | SBI損保 |
|---|---|---|
| 保険料に使う走行距離 | これから1年間の予想年間走行距離 | 過去1年間の実際の走行距離 |
| 走行距離の区分数 | 7区分(3,000km以下〜無制限) | 5区分 |
| 契約中に想定より走った場合 | 契約1年目は連絡と差額保険料の支払いが必要。2年目以降は「乗った分だけ安心サービス」が適用され、連絡・手続き・差額の支払いは不要 | 連絡・手続き・追加保険料はいずれも不要 |
| 想定より走らなかった場合 | 上限より1,000km以上少なければ「くりこし割引」として、差額相当額が翌年の継続契約の保険料から割引される | 翌年の申告距離が下がることで反映される(当年の割引の記載はなし) |
| インターネット割引 | 新規12,000円/継続4,000円 | 最大14,500円(インターネット割引14,000円+証券不発行割引500円。年払の場合) |
| その他の主な割引 | — | 新車割引、セーフティ・サポートカー割引(ASV割引) |
| ロードサービス | 無料付帯 | 全契約に無料付帯。拠点は約10,800か所 |
| 事故受付 | 24時間365日 | 24時間365日 |
出典:ソニー損害保険「走行距離に応じた保険料」「おトクな割引」、SBI損害保険「SBI損保の自動車保険の特長」「合理的な保険料設定と各種割引」「SBI損保安心ロードサービス」(いずれも2026年8月31日確認)。割引額・区分は改定されることがあるため、最新の内容は各社の公表資料でご確認ください。
ソニー損保の特徴
保険料の算出に、契約時に申告する「これから1年間の予想年間走行距離」を使います。区分は「3,000km以下」から「無制限」まで7つあり、走行距離が短いほど保険料が抑えられる設計です。
特徴的なのは、走らなかった分が翌年に戻る「くりこし割引」です。実際の走行距離が契約した区分の上限より1,000km以上少なかった場合、その差額に相当する額が翌年の継続契約の保険料から割り引かれます。逆に区分を超えてしまった場合も、契約2年目以降は「乗った分だけ安心サービス」が適用され、連絡や差額の支払いをせずに補償を受けられます。
つまり走行距離を少なめに見積もっても損をしにくい設計で、年による走行距離の変動が読みにくい人でも扱いやすい仕組みといえます。なお、業務使用の車や法人契約には走行距離によるリスク細分は適用されません。
SBI損保の特徴
保険料の算出に使うのは「過去1年間に実際に走った距離」です。申告するのは実績値であり、これから走る距離の見込みではありません。区分は5つで、走行距離が短いほど保険料が安くなる考え方はソニー損保と同じです。
この方式の結果として、保険期間中に想定より走ってしまっても、連絡・手続き・追加保険料がいずれも不要になります。走行距離の管理を意識せずに済む点は、日常の手間としては軽い設計です。
割引は、インターネットからの新規申込で最大14,500円(インターネット割引14,000円と証券不発行割引500円の合計。年払の場合)が適用されるほか、初度登録から49か月以内の新車割引、衝突被害軽減ブレーキ搭載車を対象とするセーフティ・サポートカー割引(ASV割引)が用意されています。
ロードサービスは全契約に無料で付帯し、拠点は約10,800か所とされています。事故や故障で自力走行できない場合、最寄りの修理工場までのレッカー移動は距離の制限なく無料、契約者が指定する工場までの場合は50kmまでが無料です。
実質的な違いは3点
1. 走行距離を「予想」で出すか「実績」で出すか
ソニー損保は予想距離、SBI損保は過去1年の実績距離です。これから走る距離が読める人はソニー損保の予想方式が噛み合いやすく、年によって走行距離が大きく振れる人はSBI損保の実績方式のほうが考えることが少なくなります。ただし実績方式は、前年たくさん走っていれば今年あまり走らなくてもその年の保険料には反映されない、という裏返しもあります。
2. 走らなかった分が戻るかどうか
ソニー損保には、上限より1,000km以上走らなかった場合に翌年の保険料から割り引く「くりこし割引」があります。SBI損保の公表資料にこれに相当する仕組みの記載はありません。走行距離が想定を下回りやすい人にとっては、この差が実質的な負担の差になり得ます。
3. 割引の構成
インターネット割引の額はSBI損保のほうが大きく設定されていますが、これは初年度の新規申込に適用されるもので、継続時の扱いは各社で異なります。またSBI損保には新車割引・ASV割引があり、新しい車や安全装備のある車では割引の重なり方が変わります。割引額だけを単独で比べるのではなく、割引適用後の見積もり金額どうしを比べる必要があります。
状況別の判断の目安
どちらが安くなるかは等級・年齢・車種・使用目的・補償内容の組み合わせによって入れ替わります。以下は保険料の金額ではなく、設計との相性を整理したものです。
| こういう状況なら | 検討しやすい | 理由 |
|---|---|---|
| 通勤は電車で、車は週末の買い物中心。年間の走行距離が読める | ソニー損保 | 予想距離を短く申告でき、実際にさらに走らなければくりこし割引も見込める |
| 年によって走行距離が大きく変わる。長距離の帰省がある年とない年がある | SBI損保 | 実績距離で決まるため、その年に走りすぎても連絡や追加保険料が発生しない |
| 走行距離の管理や申告の手間をできるだけ減らしたい | SBI損保 | 契約中の距離超過に伴う手続きが発生しない |
| 去年は走ったが、今年から在宅勤務で走らなくなる | ソニー損保 | 予想距離を今年の実態に合わせて申告できる。実績方式では前年の距離が保険料に反映される |
| 新車に乗り換えたばかり、または衝突被害軽減ブレーキ搭載車 | SBI損保 | 新車割引・ASV割引の対象になる可能性がある |
| レッカー移動の距離条件を重視したい | SBI損保 | 最寄りの修理工場までは距離制限なし、指定工場は50kmまで無料と条件が公表されている |
この表はあくまで設計面の相性の目安です。実際の保険料は条件の組み合わせで入れ替わるため、同じ補償条件でそろえた見積もりを両社で取り、金額と補償内容の両方を並べて確認してください。
どちらが安くなるかは契約条件で変わります
同じ条件で複数社の保険料を一括比較する
走行距離・等級・車種・年齢が同じでも、保険料の算出方法は会社ごとに異なります。1回の入力で複数社の見積もりを取り寄せて比べられます。
※見積もりの取り寄せは無料です。保険料は契約条件により異なります。加入の義務はありません。
![]()
どちらを選ぶかを決める手順
どちらが安くなるかは条件の組み合わせで入れ替わるため、金額を先に比べるより、次の順で条件をそろえてから見積もりを取るほうが判断がぶれません。
- 来年の走行距離の見通しが立つかを決める。通勤や帰省の予定から年間距離がおおよそ読めるならソニー損保の予想方式、年によって大きく変わるならSBI損保の実績方式が扱いやすくなります。
- 等級と運転者の条件を確定させる。等級(1〜20等級)は保険料への影響が走行距離より大きい要素です。仕組みと事故後の影響は自動車保険の等級の記事、用語の意味はノンフリート等級で確認できます。
- 補償条件をそろえる。対人賠償・対物賠償の金額、人身傷害の設定、車両保険の有無と免責金額、弁護士費用特約を両社で同じにします。ここがずれていると金額の差が補償の差なのか判断できません。
- 割引適用後の金額で比べる。インターネット割引の額だけを比べても結論は出ません。割引を反映した見積もり金額と補償内容を並べて確認します。
走行距離に連動しない設計も含めて検討したい場合は、ソニー損保とチューリッヒの比較もあわせて確認してください。代理店型を含めた選び方の全体像は通販型(ダイレクト型)と代理店型の違いで整理しています。
保険料の見方
自動車保険の保険料は、走行距離だけでなく等級(1〜20等級)、運転者の年齢や範囲、免許証の色、使用目的、車種・型式、地域など多くの要素で決まります。走行距離の扱いが有利でも、他の条件次第で総額が逆転することは普通に起こります。
比較するときは、対人・対物賠償の金額、人身傷害の設定、車両保険の有無と免責金額、弁護士費用特約などの特約をそろえたうえで見積もりを取ってください。片方だけ車両保険を外した見積もりを比べても、判断の材料になりません。
また等級は乗り換えても引き継がれます。保険を使うかどうかを判断する際は、翌年以降の等級ダウンによる負担増も含めて考えると、目先の保険金だけで決めずに済みます。
まとめ
ソニー損保とSBI損保は、どちらも走行距離を保険料に反映するダイレクト型ですが、ソニー損保は「これから走る予想距離」、SBI損保は「過去1年の実績距離」という違いがあります。走らなかった分が翌年に戻るくりこし割引はソニー損保に、距離超過時の手続きが不要という手軽さと新車・ASV割引はSBI損保に、それぞれ設計上の強みがあります。
どちらが安いかは条件次第で入れ替わります。走行距離の見通しが立つかどうかを起点に候補を絞り、最後は補償条件をそろえた見積もりで比較するのが確実です。
よくある質問
ソニー損保とSBI損保では、走行距離の扱いはどう違いますか?
ソニー損保は契約時に申告する「これから1年間の予想年間走行距離」で保険料を算出し、区分は3,000km以下から無制限までの7区分です。SBI損保は「過去1年間に実際に走った距離」で算出し、区分は5つです。同じ走行距離連動でも、見ている期間が予想と実績で異なります。
契約した走行距離を超えて走ってしまったらどうなりますか?
SBI損保は過去1年の実績で保険料を決める仕組みのため、申込時に選んだ距離を超えても連絡・手続き・追加保険料はいずれも不要とされています。ソニー損保は契約1年目は連絡と差額保険料の支払いが必要ですが、2年目以降は「乗った分だけ安心サービス」が適用され、連絡や差額の支払いをせずに補償を受けられます。
あまり走らなかった年は保険料が戻りますか?
ソニー損保には「くりこし割引」があり、実際の走行距離が契約した区分の上限より1,000km以上短かった場合、差額に相当する額が翌年の継続契約の保険料から割り引かれます。SBI損保の公表資料に、これに相当する当年の割引の記載はありません。適用には条件があるため、詳細は各社の重要事項説明書でご確認ください。
インターネット割引が大きいSBI損保のほうが安くなりますか?
割引額だけでは判断できません。SBI損保は最大14,500円(インターネット割引14,000円と証券不発行割引500円の合計、年払の場合)、ソニー損保は新規12,000円・継続4,000円と公表されていますが、保険料は等級・年齢・車種・使用目的・補償内容などの組み合わせで決まります。割引を適用したあとの見積もり金額どうしを、同じ補償条件でそろえて比べてください。
どちらを選んでも補償の中身は同じですか?
対人賠償・対物賠償といった基本的な補償の考え方は共通しますが、特約の種類や条件、ロードサービスの内容は会社ごとに異なります。たとえばSBI損保のロードサービスは全契約に無料付帯で、自力走行不能時のレッカーは最寄りの修理工場まで距離制限なし、指定工場までは50kmまで無料と公表されています。補償内容は約款・重要事項説明書で確認してください。
他社から乗り換えると、等級は引き継げますか?
国内の損害保険会社の間では、ノンフリート等級は原則として引き継げます。前契約の満期日または解約日から一定期間内に次の契約を始めることが条件になるのが一般的で、扱いは会社や契約状況によって異なります。等級の仕組みと事故があった場合の影響は自動車保険の等級の記事で整理しています。実際に引き継げるかと必要書類は、見積もりを取るときに各社へ確認してください。
補償の範囲と走行距離の見積もりを、公的制度を踏まえて整理したい方へ
無料FP相談で「自分に合った保険」を見つける
※相談無料・何度でも利用可能。保険加入の義務はありません。