医療費控除と高額療養費の関係:戻るお金の順序と混同しないための整理

最終更新:2026年4月 / カテゴリ:制度・仕組み・医療保険

この記事でわかること

  • 医療費控除と高額療養費の根本的な違い(税 vs 医療保険)
  • 医療費控除の計算で「高額療養費を差し引く必要があるか」の答えと理由
  • 両方を活用するときの正しい順番(高額療養費が先・医療費控除が後)
  • 差額ベッド代・交通費など対象外費用の扱いの違い

「医療費控除と高額療養費、どちらが先?」「両方使えるの?」という疑問はよく聞きます。結論:両方使えます。ただし医療費控除の計算には「高額療養費で補填された金額を差し引く必要があります。」

Sponsored
医療費の負担を総合的に整理したい方へ
全国4,500名以上のFPが、高額療養費・医療費控除・民間保険の三者を踏まえた「実質的な自己負担額」を無料で整理します。
無料でFPに相談する →
※ 相談料・手数料は一切無料。強引な勧誘なし。


まず確認:2つの制度の根本的な違い

高額療養費制度
公的医療保険の仕組み
保険適用の医療費の自己負担が月の上限を超えた場合、超過分を還付する制度。
「医療費を直接抑える」仕組み
医療費控除
所得税・住民税の仕組み
1年間の医療費が一定額(10万円など)を超えた場合、超過分を所得から控除して税負担を軽減する制度。
「税金を間接的に減らす」仕組み
高額療養費制度 医療費控除
種類 公的医療保険(健康保険・国保) 所得税・住民税(税制)
目的 月の医療費自己負担に上限を設ける 医療費負担を税計算で考慮する
何が「戻る」か 医療費の超過分が健保から還付 税金が軽減(所得税還付・住民税減額)
手続き先 加入している健康保険(協会けんぽ・組合健保・市区町村国保) 税務署(確定申告・医療費控除申告)
対象期間 1ヶ月(暦月)単位 1月1日〜12月31日(1年間)
申請期限 診療月の翌月から2年間 原則として翌年の確定申告期間


重要:医療費控除の計算で高額療養費を差し引く必要がある

医療費控除の計算式

医療費控除額 =(1年間の医療費合計) - 補填される金額 ー 10万円※
※総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等×5%

ここでいう「補填される金額」には高額療養費の還付額・民間の医療保険の給付金・出産育児一時金などが含まれます。
高額療養費を受け取っているにもかかわらず差し引かずに申告すると、過大申告(誤申告)になる可能性があります。


計算例:高額療養費を受け取った場合の医療費控除

具体例
1年間の医療費が50万円・高額療養費として15万円が還付された場合(年収400万円)

医療費合計:500,000円
高額療養費による補填:▲150,000円
民間保険の給付金:▲0円(今回なし)
──────────────────
差引後の医療費:350,000円
控除対象外(10万円):▲100,000円
──────────────────

医療費控除額:250,000円(この金額を所得から控除できる)

税率20%の方なら医療費控除250,000円×20%=50,000円の所得税が軽減されます(別途住民税も軽減)。高額療養費を差し引かずに申告すると過大申告になるため注意が必要です。


両方を活用するときの正しい順番

1

医療費を支払う(領収書・明細を全て保管)
医療機関・薬局の領収書は医療費控除の申告に必要です。差額ベッド代・交通費の領収書も保管してください(後述の対象外費用の扱いに注意)

2

高額療養費の申請をする(または限度額認定証を使う)
月の医療費が高額になった場合は高額療養費を申請。還付額が確定したら必ず記録しておく

3

高額療養費の還付額・民間保険の給付金を確認する
医療費控除の計算で「補填される金額」として差し引く必要があるため、確定した金額を把握する

4

翌年の確定申告で医療費控除を申告する
(支払った医療費合計)-(高額療養費・民間保険給付金など)-(10万円)の計算式で控除額を算出。税務署またはe-Taxで申告


差額ベッド代・交通費の扱い:高額療養費と医療費控除で異なる

費用の種類 高額療養費の対象 医療費控除の対象
保険適用の医療費(診察・手術・投薬) ◎ 対象 ◎ 対象
差額ベッド代 ✗ 対象外 ✗ 原則対象外
入院中の食事代 ✗ 対象外 ✗ 対象外
通院の交通費(公共交通機関) ✗ 対象外 ◎ 対象(領収書不要・記録が必要)
処方薬・市販薬 ✗ 対象外 ◎ 処方薬は対象・市販薬は一部
入院中の日用品・雑費 ✗ 対象外 ✗ 対象外

通院の交通費(公共交通機関のみ・バス・電車)は高額療養費の対象外ですが、医療費控除では対象になります。年間を通じて通院が多い場合は交通費を記録しておくと医療費控除の申告時に活用できます。



よくある質問(FAQ)

Q高額療養費があれば医療費控除は不要ですか?
Aいいえ。高額療養費は医療費自己負担を月単位で調整する制度、医療費控除は年間の医療費負担を税計算で考慮する制度であり、制度が異なります。高額療養費を受け取っていても医療費控除が適用できるケースは多いです。ただし医療費控除の計算では高額療養費の還付額を差し引く必要があります。
Q高額療養費を差し引かずに医療費控除を申告するとどうなりますか?
A過大申告(誤申告)になる可能性があります。後から税務署に指摘された場合は修正申告が必要になることがあります。高額療養費の還付額・民間保険の給付金は必ず把握して差し引いてから申告してください。不明な場合は税務署や税理士に確認することをおすすめします。
Q民間の医療保険の給付金も差し引く必要がありますか?
Aはい。民間の医療保険の入院給付金・手術給付金なども「補填される金額」として差し引く必要があります。ただし、実際に支払った医療費に対応する部分のみが対象となります。給付金が医療費を上回る場合でも、他の医療費の控除額から差し引くことはしなくてよいとされています。詳細は税務署または税理士にご確認ください。
Q高額療養費の申請を忘れていたまま医療費控除を申告してしまいました。どうすればよいですか?
Aまず高額療養費を申請して還付額を確定させてください。その後、医療費控除の申告が過大になっていた場合は修正申告が必要になる場合があります。税務署または税理士に相談することをおすすめします。

Sponsored

医療費の実質負担を
公的制度と合わせて整理する

高額療養費・医療費控除・民間保険の三者を踏まえた「実際の自己負担と必要な保険の量」を全国4,500名以上のFPが無料で整理します。
無料でFP相談を申し込む →
相談料・手数料は無料 / 強引な勧誘なし / 全国対応


まとめ:この記事のポイント

  • 高額療養費(公的医療保険)と医療費控除(税制)は別制度。両方活用できる
  • 医療費控除の計算では「高額療養費の還付額・民間保険の給付金」を差し引く必要がある(差し引かないと過大申告になる)
  • 正しい順番:①医療費支払い・領収書保管→②高額療養費申請→③還付額確定→④翌年確定申告で医療費控除申告
  • 通院の交通費(公共交通機関)は高額療養費の対象外だが医療費控除の対象になる
  • 差額ベッド代・食事代は高額療養費・医療費控除ともに原則対象外



次に読むべきページ

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・法務上の助言を提供するものではありません。申告方法の詳細は税務署または税理士にご確認ください。制度の詳細は変更される場合があります。

保険のことが気になったら

🗣️ 無料FP相談で「自分に合った保険」を見つける

📋 無料FP相談を予約する(PR)

※相談無料・何度でも利用可能。保険加入の義務はありません。

→ この記事を読んだ方へ:関連ページ

🛡️ 傷病手当金だけでは足りない?就業不能保険も確認を

就業不能保険の比較・選び方ページで、傷病手当金との違い・補完方法を解説しています。